娘が小学校にあがってから、子どもとの会話をすべて英語にしているママたちと知り合いました。
そのお子さんたちの口から、すっと英語が出てくる。それを見た私は、一瞬、焦ったのです。
「うわっ、私もやっておくべきだったかな?」
娘の幼児時代は、もう終わっている。これまでの約5年間を、無駄にしてしまったのだろうか、と。
でも、自分が何を大切に子育てしてきたかをふりかえると、すぐに心が落ち着きました。
幼い間に、二つの言葉を同じように自在に使える子に育てること。それが、私の目指していたゴールではなかったのです。
英語習慣化プランナーの向井佳代です。今回は、私も一瞬感じた「バイリンガル子育てに失敗したのかな」という焦りと、わが家が大切にしてきたことをお話しします。
他の子を見て焦った私が、立ち返ったこと
私が教材を買って、家庭で英語を始めたのは娘が2歳のときでした。
当時はフルタイムの会社員で、特に平日は時間が限られていました。普段の取り組みは、英語の歌などのかけ流しが中心です。
わが家では英語教材や英語キャンプを活用しましたが、親子の会話は日本語。読み聞かせも日本の絵本。私が英語で話しかけたり、英語の絵本を読み聞かせたりする形は選びませんでした。
保育施設や学校も、英語で保育・教育を行うところを選んだわけではありません。
だから、知り合ったママたちが親子で自然に英語で会話する様子を見て、「これがバイリンガル子育てなのか!」と驚いたのですね。
教材の宣伝やブログ、SNSには、英語を流暢に話す子どもたちの姿が出てきます。
それを見て、わが子も英語を聞き取って受け答えはできるのに、自分から話すときには英語がすぐに出てこない、と気になるママもいるでしょう。
けれど、その姿だけで、これまでの家庭の英語を失敗と決める必要はありません。
私が立ち返ったのは、「私の思うバイリンガルとは何か」と「わが家で大切にしてきたことは何か」でした。
「バイリンガル」に、どんな姿を思い浮かべていますか

当時、私が「バイリンガル」という言葉から思い浮かべていたのは、二つの言語を同じくらい自由に使える人でした。
どちらの言葉でも楽に話せて、特に考えなくても言葉が出てくる。そんなイメージです。
私は日本語でも英語でも、聞く・話す・読む・書くことができます。でも、日本語のほうが断然「楽」です。
22歳のとき、10か月のイギリス留学から帰国しました。日本語で聞いて、日本語で話せる生活が、なんて楽なのだろうと感動したのを覚えています。
心が震えるほどでした。今思うと、ちょっと笑ってしまいますが。
そんな経験もあって、当時の私は、日本語と英語を同じように楽に使えるわけではない自分を「バイリンガル」とは思っていませんでした。
でも実際には、「バイリンガル」という言葉は、もっと幅広い意味なんです。二つの言語のうち、どちらが得意か、どのくらい使えるかは人それぞれです。
私のように、英語よりも日本語のほうがずっと楽だという人も含まれるのですね。
英語の教材、動画、語りかけ、読み聞かせ、プリスクール、インターナショナルスクール、親子留学やキャンプ。家庭で選べる方法はいろいろあります。
でも私には、幼いうちに二つの言葉を同じように使えるようになることよりも、娘の中に育てたいものがありました。
ここから、わが家で大切にしてきた三つのことをお話ししますね。
1.日本語を、人に伝え、考えるための土台にしたかった

私が娘と日本語で話していたのは、母語である日本語の力を一番大切に育てたかったからです。
日本で暮らしていく娘にとって、日本語と、その土台の上に育つ国語力は、生活や人との関わり、ものの見方、考える力を豊かにするもの。私はそう考えていました。
日本に住んでいれば、自然に十分な日本語が身につく。学校で国語を学べば、人に伝える力も育っていく。
そうでしょうか?私は必ずしも、そうではないと感じていたのです。
会社員として25年間働く中で、さまざまな人(日本人)の文書や口頭での説明に接しました。
失礼ながら、「言いたいことがよくわからない」と感じる場面もありました。日本語を話せることと、相手に分かるように伝えられることは、同じではないのですね。
また、長く英語を学ぶ中で、かえって日本語の音の美しさや、言葉の奥深さを感じることもありました。
だからこそ、外で自然に覚えてくるから日本語は大丈夫、とは思えなかったのです。
人に伝えるための日本語も、美しい日本語も、私自身が親として、意識して娘に伝えたい。
それが、わが家で日本語の親子会話を大切にした理由でした。
2.育った地域や人への温かい思いを、持っていてほしかった

保育園や小学校を考えるとき、私は英語教育の有無を特に重視しませんでした。
地元の多くの子どもたちが経験する保育園や小学校での暮らしを、娘にも経験してほしい。地域の人とつながって、育ってほしいと思っていたからです。
将来、世界のどこに住むことになっても、自分が育った地域や人への温かい思いが胸にある。そんなふうにしてあげたかったのですね。
社会に出たり、世界に出たりすれば、さまざまな考え方を持つ人と出会います。その中で、自分のことが分からなくなるようなときもあるかもしれません。
そんなとき、「自分はこんな場所で、こんなふうに育ってきた人だ」という感覚があれば、自分を認め、自信を持つ助けになる。私はそう考えました。
海外の多くの人とのやり取りの中で、自分をふりかえり、またその人たちの中にその感覚があるのを感じた経験からです。
少し難しい言葉でいうと、アイデンティティです。
地域とのつながりを大切にしたかったのも、その先に、娘が英語で世界とつながる未来を思っていたから。
3.英語教育のゴールを、幼少期よりずっと先に置いていた

子育ての一区切りって、いつでしょう。18歳、20歳、それとも就職するまででしょうか。
そこは、それぞれのご家庭で違うと思います。
親が環境を整え、毎日の英語時間を作ってあげる時期は、その長い子育ての前半です。私は、親が手をかけて進める形の英語は、子育て全体の半分くらいで卒業していくのだろうと考えていました。
その先も英語力を高め続けるには、子ども自身の意思と努力による部分が大きくなっていきます。
私が思う英語教育のゴールは、幼い子が流暢に英語を話す姿ではありませんでした。
社会に出て、英語力も生かしながら人の幸せに貢献できる仕事をする。自分自身の人生も、豊かにしていく。
そこまでを見ていたのです。
だから、親が手をかけて英語環境をつくるしかない幼い時期に、何としても「バイリンガルにしなければ」と焦る必要はないと感じました。
英語の音を聞く耳、英語力の基礎、英語への親しみが育っていれば十分だと思っています。
その土台があれば、子どもは自分の意思と努力で、そこからさらに英語力を伸ばしていけます。
子ども自身が英語を伸ばしていく時期のサポート

子ども自身が英語を伸ばしていく時期には、親の関わり方も変えていきましょう。
今度は、子ども自身が「何のために英語を学びたいのか」を見つけるためのサポートです。
好きなことを、将来やりたいことへつなげていくとき。言葉の壁がなければ、可能性が広がることに気づけるように支えてあげたいですね。
親自身が話をしてもよいですし、信頼できる英語の先生やコーチを見つけることもできます。
私自身、娘には、すてきな大人たちとたくさん触れ合ってほしいと思っていました。
考え方に共感できる先生や、この方なら信頼できると思える習い事の先生には、積極的に娘を預けていました。
親は、子育て全体を見ながら、誰の力を借りるかも考える立場。すべてを自分で教える必要はありません。
娘を通して、私自身もすてきな大人に出会い、学ばせてもらう。それも、もう一つの子育ての喜びでした!
わが家の英語を、これからどう支えていくか迷ったら
他のご家庭と比べて焦るときは、わが子の今と、ご家庭で大切にしたいことを整理してみませんか。
シャーンティ英語スクエアのLINE公式から、英語についての相談の入口をご案内しています。

2〜6歳のお子さんがいる方へ
家庭で英語を始めたいけれど、教材の選び方や続け方に迷っていませんか。
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まとめ|育ててきた土台を認め、英語を使う未来を支えよう
バイリンガル子育てに失敗したのかな、と感じたら、まず、わが家で大切にしてきたことをふりかえってみてください。
私の場合は、日本語の力、地域や人とのつながり、そして、娘が英語を生かして人の役に立ち、自分の人生も豊かにしていくことでした。
幼い間に思い描いたような英語の話し方にならなかったからといって、失敗ではありません!
ママがこれまで作ってきた英語の環境は、子どもへのプレゼントです。その土台を使って、子どもはこれからも英語を伸ばしていけます。
これから何に英語を使っていきたいのか。今度は、その目的を一緒に見つけるサポートをしていきましょう。

