ママたちのお悩みを聞いていると、私はよく尋ねます。
「お子さんは、何て言っているんですか?」
すると、「あ……子どもには聞いていませんでした」と返ってくることがあります。
親だから、自分が考えて決めなければ。
まだ小さいから、聞いても分からないかもしれない。
そう思う気持ちも、よく分かります。毎日が忙しければ、ゆっくり聞く余裕を持てない日もありますよね。
けれど、子どもの自己肯定感を育てたいなら、家庭でできることは特別な褒め方だけではありません。
「あなたはどう思う?」と聞き、出てきた言葉を大切に受け取ること。
その小さな親子会話が、自分の考えには価値があると感じる土台になります。
そして、日本語でも英語でも、自分の思いを人へ伝えようとする力につながっていきます。
大切なのは、質問よりも最初のリアクション
以前、私が開いたセミナーで、子どもの考えを引き出し、まず受け入れるという話をしたことがあります。
そのとき、あるお母さんは、自分の子どもから出てくる提案を「レベルが低い」と感じていました。
でも実際には、私の子どもが出す提案も、その方のお子さんの提案も、それほど変わりません。
子どもは、まだ短い人生経験の中で一生懸命に考え、答えを出しています。大人から見れば浅く見えるのは、ある意味で当然です。
だから私は、内容を評価する前に、こう伝えてきました。
「わあ! 言ってくれてありがとう!」
満面の笑みで伝えて、何ならハグもします。

それは、子どもの提案を何でも採用するという意味ではありません。
まず受け止めたいのは、自分の考えを言おうとしたことです。
最初のひと言で笑われたり、すぐに否定されたりすれば、次からは言わないほうが傷つかずにすむと感じるかもしれません。
反対に、「言ってくれてありがとう」と受け取ってもらえたら、また考えを話してみようと思えます。
わが家の食卓では、違う意見を面白がった
わが家では、食卓で何か話題が出ると、よく「どう思う?」と聞いていました。
私も夫も子どもも、それぞれ自分の考えを言います。
意見が同じこともあれば、違うこともあります。違うとき、私は「おもしろい!」と思いました。
「へえ、そう思うんだ。どうしてそう思ったの?」
正解へ導くためではなく、前向きな好奇心で聞きます。
一緒に暮らしていても、話さなければ、相手が何を考えているかは分かりません。
家族だから分かるはず、ではなく、家族だからこそ言葉を交わす。
その積み重ねで、お互いの感じ方や考え方が少しずつ見えてきます。
家庭でできる、意見を育てる3つの関わり
特別な時間を作らなくても、日常の短いやり取りから始められます。

1.答えを先に決めず、「どう思う?」と聞く
大人の案を伝える前に、子どもの考えを聞いてみます。
すぐに答えが出なくても、考えている途中かもしれません。沈黙を急いで埋めず、少し待ってみてください。
子どもが黙ったときの待ち方は、子どものオンライン英会話で黙ったとき、すぐ助けない理由でも詳しく書いています。
2.賛成する前に、伝えたことを受け止める
「なるほど、そう考えたんだね」
「言ってくれてありがとう」
意見を尊重することと、その通りに決めることは同じではありません。
採用できない提案だと思っても、話してくれたことを受け止めたうえで、大人の事情や判断も伝えればよいのです。
3.大人が先回りで止めず、自分の選択を試してもらう
大人には、うまくいかないと分かることもあります。
もちろん、命や身体に危険があることや、誰かを傷つけることは、大人が止めなければなりません。
でも、ここで私が子どもに経験してほしいのは、間違えないことでも、失敗しないことでもありません。
「うまくいかないかもしれない」「思った通りにならないかもしれない」という理由だけで、やる前から止めないことです。
実際にやってみて、「このやり方じゃうまくいかなかったな」と自分で気づく。その体験が貴重なのです。
うまくいかなかった体験も、自分で気づき、次を考える材料になります。
おやつ選びも、考えを伝える練習になる
わが家では、おやつを決めるときも、あえて選択肢を見せて選ばせました。
「どうしてそれを選んだの?」と理由も聞きます。
大人には小さく見える選択でも、子どもにとっては、自分で考え、言葉にし、結果を経験する一回です。
「やっぱりクッキーよりチョコレートがよかった」と思うこともあるでしょう。
そのときも、失敗と決めつける必要はありません。「次はどうする?」と一緒に考えればよいのです。

こうした小さな経験が、選ぶことと伝えることへの安心につながります。
日本語で意見を言う経験は、英語で伝える力の土台
英語を話せることは、単語や文法をたくさん知っていることだけではありません。
自分は何を感じ、何を伝えたいのか。
相手はどう考えているのか。
違いがあっても、分かり合おうとできるか。
私は、多国籍企業で約25年間、英語を使って働いてきました。その経験からも、英語力だけで信頼関係ができるわけではないと感じています。
発言すること。相手の話を聞くこと。自分事として考えること。
人とつながるためには、そうした態度が欠かせません。
日本語で安心して考えを話す経験は、英語でも自分の言葉を届けようとする土台になります。
英語スキル+英語を使う態度。
家庭で育てたいのは、その両方です。
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まとめ|子どもの意見に、まず「ありがとう」を
子どもの自己肯定感を育てる親子会話は、難しいテクニックではありません。
「どう思う?」と聞く。
出てきた言葉を、まず受け止める。
命や身体を守るために止めることと、失敗しそうだから止めることを分ける。
大人と違う意見でも、うまくまとまっていなくても大丈夫です。
次にお子さんが考えを話してくれたときは、内容を評価する前に、「言ってくれてありがとう」と伝えてみませんか。
その安心が、自分の考えを持ち、人へ届けようとする力を育てていきます。

